連載 6 脳のエネルギー源
脳のエネルギー源はブドウ糖と酸素です。
心臓では全体の11%以上、筋肉では全体の20%が消費されています。体内で最もブドウ糖の消費が多いのは脳で、全体の約20%以上を消費しています。
単位面積当たり最もブドウ糖消費量の多い臓器は心臓、次いで、脳になります。呼吸をすると、肺で酸素とヘモグロビンが結合し、動脈によって脳に運ばれ、毛細血管から脳組織に直接渡されます。ブドウ糖も毛細血管によって脳組織に運ばれていきます。そうして運ばれてきたブドウ糖と酸素から化学エネルギー(ATP)を産生し、脳はこのATPを直接のエネルギー源として利用します。脳の重さが全体重に占める割合は約2%ですが、脳で消費される酸素とブドウ糖は、身体全体の約20%にも及びます。脳は小さいのにかなりの「大食い」なのです。
また、脳では、肝臓や筋肉などと異なり、エネルギーの備蓄(グリコーゲン)がほとんどありません。その為、常にブドウ糖は供給される必要があります。糖尿病などで低血糖状態になると、脳神経細胞の活動に必要なブドウ糖の供給が行えなくなる為に、脳はすぐに神経活動が低下し意識障害が生じてしまう場合もあります。数分間この状態が続くと脳が死に至ることもあります。