ご挨拶
戦後日本国民の生活は、高度経済成長期を境に物で溢れかえるように豊かになり、我が国は世界有数の消費大国と化しました。
近代科学は長足の進歩を遂げ、国民の食生活環境は特に豊かになり、近代医学は色々な面で大きな進歩を遂げたと言われています。
人類の歴史を振り返ってみると、数万年に渡る科学の進歩はこの100年の進歩と比べてみた時、わずか100年の進歩が数万年間を遥かに凌いでいることが分かります。ライト兄弟が歴史的飛行を成し遂げたのが1903年、わずか80年の間に今日のジェット機に成長、テレビが発明されて120年、このわずかな期間に人類の生活は想像もつかない程の変化に巻き込まれてきたのです。この変化は衣・住だけではなく食にまで大きな影響を与えました。
これ等は私達に大きな恩恵を与えてきたことは言うまでもありませんがその反面、健康についてはこれまで人類が食べなかったものまでを食品に変貌させ、食卓へ送り込んできたのです。ここに現代人特有の慢性疾患が誕生しました。いわゆる生活習慣病です。私たちの周囲には、それまでみられなかった様々な病気が激増しております。物質面で豊かになったものの、健康を失い病気で苦しみ深刻な生活を送っている方々も少なくありません。
人は『喰って生き、喰わねば死ぬ、喰い誤れば病気になる』が如く、不健康者が激増したということは、要するに気づかないまま食の喰い誤りを続けてきたということなのです。長年の食生活の歪みによって失った健康は、正しい健康についての知識を学び食生活を正して健康を取り戻す以外道はないと考えます。
近年『自分の健康は自分で守れ』と叫ばれていますが、この様な意識が広がりつつあることは非常に喜ばしいことです。
しかし、長いこと世界第一位の平均寿命を誇る我が国ですが、残念ながら医療費が年々膨らんでいることを見逃すことができません。つまり、医療費をかけて長寿国日本の座を守り続けているということになっているのです。
これからの我が国のテーマは、名実共に「健康で長寿」といえる国民の健康作りにあると思います。
本会が目指す「健康維持及び損なわれた健康を回復する為に必要な正しい知識を、一人一人が持ち、各自が健康の管理者になる」ということの実現には何が必要なのか。それにはまず、自分で自分の身体を管理しようとする『意識』が何より大切で、この意識があるから、次に『知識』を得ようということになるのです。
家庭で、毎日の生活の中でしか実行することのできない健康管理ですが、それに必要な『健康に対する正しい知識』を、発足から40年変わらずに伝えて参りました。
また、「サプリメント」という言葉も久しく、生活の中に健康補助食品を取り入れる方も急激に増えています。「健康不安」や「健康管理に対する意識の高まり」の表れでもあると考えます。しかし、闇雲に補助食を摂ればよいというものではなく、それ以前に、簡単な身体の仕組みや栄養の働きなどの知識を、生活レベルの範囲でよいからまずは得ることです。すると今身体に必要なのは休養なのか、運動なのか、食の改善なのか、栄養の補助なのかが自然にみえてきます。補助食品を用いる場合でも、自分自身で的確な選択が可能になるはずです。
21世紀も10年が過ぎ、これからの時代は益々、健康をテーマにした取り組みや開発が後を絶たないことでしょう。雑学に振り回されるのではなく、自分の意志と責任で健康な生活を送れることを願い、時代にあった情報提供と、指導育成にこれからも努めて参ります。
『常に相手の立場に立ち、自分の能力の範囲で、少しでも世の中のお役に立つことを志とする』本会発足精神の基、次世代へ繋げる組織の確立を目指します。
家庭健康管理研究会
会長 松浦優子