連載 10 地球の中の飲料水
「水はいくらでもある」と思ってしまいがちです。特に、我が国では水が枯渇することが少ないため、蛇口をひねると水は永遠に出てくると感じている方は少なくないでしょう。
実際に水はたくさんありますがその96%は海水です。
私たちは生活の上でたくさんの水を必要としていますが、それは海水ではなく淡水(塩分がふくまれていないきれいな水)です。
陸地にある川、湖や沼、地下水などの淡水は地球上の水の0.8%しかありません。水は大気中に水蒸気でも存在しますが、その水蒸気の量は13兆トンくらいと考えられています。
そうなると水資源として考えられる淡水は、地球上の水のごくごく一部なのです。しかも淡水の大部分は、人間が利用できない氷雪の中にあります。人間が利用できるのは直接の雨水を除くと河川の水と地下水の一部です。
水を資源として評価する場合、量と共に質も重要です。
水が循環するしくみ
地球上の大部分を占める海からは、太陽エネルギーによって絶えず蒸発が行なわれています。蒸発した水蒸気は凝縮して雲となり、さらに雨や雪となって、その90%近くは直接海へ降ります。残りの水蒸気は風によって陸地に運ばれて、淡水の雨水として地上に降ります。
地上に落下した水の約65%は蒸発して大気中へ戻ります。残りの一部は地中に浸透して地下水となり、地中をゆっくり流れて河川や湖沼にいくかあるいは泉となって地表に現れます。また、他の部分は地表を流れて直接河川へ入ります。河川には地表から様々な物質(鉱物や生物の廃棄物)が溶け込み、やがて海に至ります。
太陽からのエネルギーでさかんに水が蒸発し、約10~15日で雨や雪として再び地表に戻ってくることが繰り返されています。つまり、水資源のおおもとは雨と雪なのです。
限りある資源の「水」をどう活用していくかが人類の今後の課題とも考えられています。